新年あけましておめでとうございます。頂戴する年賀状は年々増える一方で、ろくにご挨拶もできません。この場をお借りして新年のご挨拶に代えさせて頂きます。失礼致します。
私は今年、数えで92歳になります。老いると日常生活のいろいろな能力が衰えてきて、我ながら情けなく、「エエイ!エエイ!」と自分の頭を小突いて歯痒い思いをしております。けれども、老いた身になってかえってよく見えてきたことがあるのも事実。ありがたいことです。
美しいということはいかに自然に近くなるかということ。そのために、自分とは何かを問い続けることがいかに大切か!まだまだ多くの人はご存じない。自分の中に何があるかを探し求め、自らの意志で自分の好きなことを好きなようにやる、これぐらい人間のエネルギーと才能を最大限に引き出せる方法は他にない。潜在意識を引き出すには、思い切って冒険してみて、刺激を受ける以外にはない、と思うのです。人生は自分を見つけて事足りる。そして老年期は、その実りのときなのであります。
いつ死んでも惜しくはないが、今年もやりたいことはたくさんあります。みなさんもしっかり生きて下さいよ。
※写真:文化庁・文化部長の寺脇 研氏の講演会の壇上に上がり、熱弁を振るう
(2004年1月・335号)
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