10月28日(金曜日) 石巻にて
9時過ぎ、芭蕉の奥の細道には欠かすことができない松島に向う。芭蕉があまりの美しさに絶句したとかで、松島には句碑などは無いがみさを先生には是非一句捻っていただきたいと思う。石巻からは車で40分ほどの道のりだが、出来るだけ東北の美しい所を見ていただきたいと考え、通称「奥松島」を抜けるルートを択んだ。山間を抜けると海が開ける。松島は初めてではないというみさを先生と研三さんは思い出話に花が咲く。
海沿いの道を少し行くと、高橋喜久江さんが営む姉妹塾「水浅葱」が有る。「私は観光に来たんやないんや。仕事に来たんや。」と仰るみさを先生のご要望に応えて、ここでも沢山の方たちがお待ちかね。講演、サイン会。11時過ぎ、昼食を兼ねた松島観光に出発!
まず、伊達政宗がこよなく愛し、中秋の名月には必ずこの場所で月見をしたという「観覧亭」に向かう。ここには正宗が朝鮮出兵のご褒美に秀吉から賜ったという茶室が移築してある。伊達家に関連した博物館も有るが、みさを先生は「そんな古いものは行かんでもええ。」と無関心な様子。短冊を手に景色を楽しんでいる。お腹がペコペコになった頃、松島湾を一望できる景勝地「双観山」に移動する。そこには食事どころも有り、高橋さんが昼食の予約をしてくれていた。座敷に通されると生徒さんなど14,5人が既にお待ちかね。本場松島の牡蛎鍋をご馳走になりながら、集まった人達の自己紹介が始まるが、夕べの我が家と違ってみんな静か・・・。研三さんからの生徒さんへの質問にも元気な高橋さんが答える。 あ~っ。分かった! リーダーが静かだと、周りの人達が賑やかなんだ! 違う?
昼食後、松島湾をバックにみんなで記念撮影。この後仙台の中山に有る「ギャラリーにっそく」に向う予定。「ギャラリーにっそく」にはさをりの教室が有り、私が月二度ほど講師として通っている。今回、仙台は「北日本さリコ」の例会になってしまったので、折角のチャンスに、一般の人はみさを先生とお会いできないことになりそうだった。そこで前回の例会でコースを検討する際に組み入れて頂いた。仙台でも沢山の人が待っている。行かなければと思いながら、なかなかキッカケが掴めない。暢気でいい加減な私にタイムキーパーは向かないとつくづく思う。無理な事とは知りながら、研三さんか、達也さん、誰かに「出発!」と言って欲しい・・・。
仙台に向う車の中では牡蠣鍋の話で盛り上がった。「牡蠣が7個も入ってたで。」「大阪だったら3個やで。」と親子の会話に「こちらでは7個は普通です。其れより少なかったら、その店にはもう行きません。」とご馳走してくれた高橋さんの代わりに産地であることを自慢する。
かなり遅れて「にっそく教室」到着。沢山の人と大きな花束がみさを先生をお出迎えだが、みんな手に手に色紙を持ってニコニコ笑うだけで言葉が出ない。憧れのみさを先生に御会いできて緊張している様子。若しかして私が何か言わなければならないのかと少し焦るが、打ち解けるのに時間は掛からなかった。ホッとして辺りを見回すと仙台のさリコの中村さんや岩淵さんもお出でだった。みさを先生の滞在も4時頃までの予定だったが、送れて来たことや皆さんの楽しげな様子に、研三さんの方から時間を延長しても良いとのお許しを得る。
実はコースを決定した10月3日の例会の時には、「にっそく教室」から仙台空港にお送りする予定になっていたが、その後、一日お帰りを遅らせて浅野知事に御会いしたいと、石巻にもう一泊する事になった。しかし、29日に御会いする予定が24日に浅野知事には会ってしまったので一日余裕が出来きた。そんな事も有り、帰りが遅くなっても明日の朝はゆっくりできるという計算らしかった。達也さんは当初の予定通りに、「にっそく」のご主人に仙台駅まで送っていただいて東京へと帰っていった。
5時過ぎ、感謝の言葉に送られながら石巻に向って帰路(?)につく。渋滞に巻き込まれ、日はとっぷりと暮れている。みさを先生は「遠いな~。あんたこんな遠くまで教えに行くんか・・・。」と仰る。私は今まで一度も遠いなどと感じた事は無かった。でも、そのみさを先生の言われたことが、ねぎらいの言葉のように聞こえて嬉しかった。
7時過ぎ我が家に到着。みさを先生、研三さん、大貴と私の四人での夕食は前夜の残り物に牡蠣フライなどのささやかな物。みさを先生は歯が痛むと言ってあまり召し上がらない。そろそろお疲れもでてきているのだと思う。でも、みさを先生は最近フリーターに関心をお持ちの様子で「若い人に聞いてもらいたいんや。」と息子の大貴を捕まえて、相変わらずお元気。そして、「自分には何が出来るだろうと考えて、アレが出来る。コレが出来るとやっていったら、振り返ったら大きなことが出来ている。」とお話してくださった。
遅くまで、息子の為に成ることを沢山お話して下さって、みさを先生と研三さんは離れの方に。息子は「みさを先生って、ヤッパリ凄いな。考えている事が並みの人と違う。」とつくづく感心した様子。お陰さまで、息子も深く考えながら充実した人生を歩んでくれるでしょう。みさを先生に感謝、感謝です。
★「奥の細道紀行」リレー報告6番手:及川恵美子 その5
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