A:
私たちの手元にある糸を比べても、
工場にある糸の豊富さ、
技術や経験の差、
このハンディキャップを克服するのは
並たいていのことではできません。
かりにそれができたとしても、
実につまらないものとお思いになりませんか。
ただ織っただけの自己満足だけです。
機械のまねをしてもはじまりません。
ものまねはやはりものまね。
手びねりの焼き物と、
型ぬきの焼き物とどちらがいいと思いますか。
手びねりで、
型ぬきそっくりのものを作るより、
手びねりの味わいを強調するほうが
いいに決まっています。
しかし、
ただひたすら織ることだけで楽しい。
むずかしいことを何も考えずに織っていればいい・・・
このような人にまで
私はあれこれ押しつけるつもりはありません。
安心して手織りをお勤めし、
それを手ばなしで喜ぶものです。
※著書『私の手織り』(中経出版・1975年:絶版)より
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