そんな中、
知的障害のある人が集まる施設での
織りの教室を訪れたことがありました。
一人の女性が
ピンクと赤の縞模様の
マフラーを織っていました。
手元には
細い紙切れが置いてあり、
その紙切れの幅だけ織れば、
色を変える
ということになっていました。
そうして、
市販のマフラーと同様の
縞模様を織るのですが、
誰も欲しがらないようなもの
だったのです。
事実、
その施設のバザーでは
手織の物は殆ど売れない、
ということになっていました。
そして、
その指導者が押入れの奥から
恐る恐る取りだした木箱には、
彼らが初めて織った布が入れてありました。
最初の記念すべき布だから、
大切に取ってあったというのです。
最初は、
全く何も言わずに
好きなように織らせてあげたそうです。
【研三さんが語る、母・みさをの「さをり」物語】
★★★ その27 ★★★
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