ある時、私は、
女の手芸はおおむね、
物まね的なものであったことを知った。
物まねからは、自己は見つからない。
だから、今日まで
自己の才能を見つけることができなかったのだ、
とわかったのである。
これは大変だ。
世の女性は自分に何ができるか、
自分の中に何が埋もれているか、
それさえも知らないで死んでいってしまう。
こんなもったいないことってあるものか!
人、
それぞれ個性がある、
美意識がある、
ひらめく感性がある、
というのに。
それを確かめようともせず死んでいく。
これは大変なことだ!
と思い始めた。
世の中が悪いのだ。
型にはめることばかりを強いている。
みんな一つの鋳型にはめられている。
同じことを教わっている。
先生のまねをしている。
まねをしていては自分はみつからない。
一人一人の自分は、
みんな違うはずだ。
なのに、
いっせいに同じことをさせて
よいはずはない。
こんなことをしているから
自分を見つけられないのだ。
そして、
私は、作品を売ることをやめ、
一人でも多くの人に、
自分を見つけることの大切さを知ってもらえるように、
立ち上がろうと決心したのである。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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