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以前、日本画を描く友人のお見舞いに、
ストールを織って持参したことがある。
ベッドから身を起こして元気な顔を見せてくれた。
私はそれを彼女に手渡した。
彼女はそれを拡げてみて、
「城さん、ここで糸なくなったの?」と言った。
アッと声が詰まってものが言えなくなった。
彼女にとって織物は、
“一色で織るべきもの”と思っていたらしい。
それ以外のストールは見たことがないからだ。
私は私の感性で、
心のおもむくまま色どりを楽しみながら、
ひとつの作品としてのストールを織っていた。
絵を描くように。
私は気を取り直して答えた。
「あなた、一色で絵を描かないでしょう。
それと同じことですよ」
と。
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