確かに盗んではいない…。
しかし歯形が入っている。
考えた末に
彼を柱にしばりつけた。
兄と弟は泣きながら
「堪忍してあげて」
と私にせつく。
でも私は動かない。
しばったままにしてあった。
と、畑の主人が
大きな籠に一杯の柿を持って来て下さった。
二人の泣き声が届いたのだ。
そして泣いている子の足元に置いて下さった。
申し訳ない、
申し訳ない、
私が悪かった。
お金を出して買って置いてやれば良かったのだ…。
悪かった。
しかし我慢を教えたい気持ちもあった。
籠一杯の柿を見て、
英二はさっと泣くのを止めて、
三人は飛びついておいしく熟れた柿を頂いた。
地主のご主人は大変良く理解して下さって、
何かと心配をして下さった。
感謝した。
そのお心遣いに…。
コメント