A:
年に数回、
私は無料講習会を開いています。
第1回の受講生の皆さんを
助手としてお手伝い願っています。
その人たちも、
あなたと同じことを言っていました。
「私たちのころと比べて、
ポンチョも、スカートも、のれんも、タピストリーも、
みんな、よくなった。
先生、
私たちのときは
今ほどたっぷり教えてくれなかったのじゃありませんか」。
冗談まじりに苦情が出たりしました。
多少要領は良くなったかもしれませんが、
第1回ということで、
むしろ丁寧に教えたつもりです。
では、なぜでしょう?
時代が変わったのです。
反機械、人間性回復が
ますます実感として生活の中に入ってきたのが原因です。
1年前までは、
私のいっていることが耳に入らなかった人でも、
今ではすっと入ってしまうからでしょう。
世の中が変わったのです。
以前は耳を外に出して仕立てましょうと言っても、
きょとんとしていて
何を言っているのかわからない顔つきでした。
ところが、
近頃はせっかく手で織ったんですから、
耳を大切にしなけりゃもったいないですね、
などと、皆さんのほうから口にされます。
この分では、
今に何もくどくど言わなくてもすむようになると、
嬉しく思っています。
※著書『私の手織り』(中経出版・1975年:絶版)より
コメント