これはある作業所での話なんですけど、
そこに、
糸くずをですね、
クルクルクルって、
ちょうど指ぐらいに丸めまして、
それを織りの中に
チョンと挟んで織っていく人がいたんですね。
それはまるで、
毛虫がはうてるみたいになってる。
それで、
虫、
虫というあだ名が
付けられてたそうです。
私ら行きましたら、
所長さんは、
「こんなもん要りませんわ。
雑巾にもないまへんわ」
と
言われた。
「ああ、そうですかぁ、
そんなら買わしてもらいまひょ!」
って、
買ってきました。
ところが展示会に出したら、
それが一番最初に売れた。
こんなもん雑巾にもならん、
と言われたのが、
一番最初に売れたんです。
それで、
次、次、次と、
もう迫力のある、
それこそ目茶苦茶織ったものが、
みな喜ばれた。
後に残ったのは、
まともな、
落ち着いた、
どこかでみたような布ばかりだったんです。
( NHKラジオ
『こころの時代 ~宗教・人生~』
1995年2月4・5日放送より )
★★★ その17 ★★★
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