楽しく織っているうちに、
また別なヒントが見つかった。
糸くずを
一緒に織り込んでしまったのである。
取ろうと思って
手を出したが、
そうだ、
機械にはできないが、
私なら好きなところに
色糸を入れ込むことができる、
と
気がついて、
色どりよく間を考え、
太いもの、
細いもの、
長く、
短く、
と
適当に
絵を描いていくように
楽しんで織っていくことも覚えた。
ネップといって、
色糸で節をつくってある糸を
織ってみた時のこと。
テーブルセンターにするつもりだったが、
なんとなく物足りないので、
そのポツポツの色を
別糸で集め、
挟み込んで織ってみると、
いい調子になった。
気に入っていたのが、
江崎玲於奈博士にもらわれていった。
応接間シリーズが終わった頃、
ショールを織ってみたくなった。
ショールは、
ただ流行にふりまわされている感じで、
毎年歩いても好きなものが見つからず、
物足りなさを感じ続けていた。
ようし、
自分で織る時が来た、
と
思って、
楽しみながら織り始めた。
欲しいと思うものは
難なくできるものである。
この着物には
このショール、
この渋みすぎるコートには、
この派手なショール、
この羽織には、
・・・、
と
好きなだけ、
それこそぜいたくに
いくつもいくつも織った。
ショールひとつで
こんなに楽しめるものか、
と
思いながら、
羽織との調和などを
いろいろ考えて織った。
自分でつくるということは
こんなに嬉しいものかと
思い始めていた。
けれど、一方で、
果たしてこれで良いのか、
独りよがりではないのか、
と
不安な気持ちも生まれていた。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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