私はまず、
機械と人間の違いを考えることから
始めた。
それは、
たいてい失敗して、
失敗がヒントになったものだった。
たとえば、
織物の耳がでこぼこになると、
そうだ、
機械ではこんな織り方はできないぞ、
手ひねりのお茶碗のように、
でこぼこの方が味があるのではないか、
そんな思いで
耳を揃えることを気にしないで
織っていった。
よこ糸が
耳でたるんでいるのを見つけ、
そうだ、
機械には出せないぞ、
私なら出せる、
そう思いつつ、
出したり入れたりするうちに、
いい具合に
フリルができたこともある。
フリルが出ていて、
テーブルセンターにちょうどいいし、
クッションやチェアバックなどにも
応用できた。
ひとつのヒントが見つかると、
すぐ応用したくなる。
応接セットを
自分の手で楽しいものにしようと思い、
長いたて糸を通して、
同じたて糸で
ワンセットまとめる計画を立てたり、
ひとつの雰囲気で統一した、
いろいろな図柄のクッションをつくり、
そのクッションを裏返せば
別の図柄が現れるようにしたり。
安物のセットが
見ちがえるようになった。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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