もしも、
これが絹で織れていたら、
どんなに高価でも
欲しがる人があるという。
この秘密は、
いったいどこにあるのか。
鈍い私にも
やっとわかってきた。
たて糸1本抜けて
傷だと言われたのをヒントに、
たて糸を十数本抜くことにした。
3㎝ごとにとか、
5㎝ごとに抜くようなことをしても
つまらない。
そこで、
私は強弱をつけて
バランスよく抜くことを試みた。
それが、
思いもよらぬ
良い帯になった
というわけである。
「なんだ、
こんなに簡単に
自己表現ができる」
ということに驚いた。
57歳までに
身についていた自分が、
容易に現れ出たのである。
こんなにストレートに
自分の内なるものが見える。
これは、面白い。
と思った時から、
私の手織りの方針は決まった。
ようし、
好きにすれば良いのだ。
好きなように織れば
自分が見える。
好きな色を使う、
面白いと思うまで試みる。
ああこれでよしと
嬉しくなるまで試みる。
絵の具を合わすように、
糸を幾本も合わせていく。
まるで絵を描くように、
詩を創るように
思いのままに、
トントンと織り続けていく。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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