そうしますと森先生が「あなたの仕事は歴史に残る」と一言言やはった。「ええっ? まさかそんな! うそでしょう!って言いたかったんです。「うそでしょう」までは言わなかったけれども「まさかそんな!」と言ったんです。そしたら先生が真剣な顔で私の顔を見られて、同じ口調で同じことを二回おっしゃったんで、これは後へ引けないと思った。それでありがたくお聞きしたんです。だけどその帰りに先生は私のことを見損のうていらっしゃるわと思ってたんです。私ってそんな人間じゃないのにと思った。ところがだんだん先生の偉さがわかってきますと、そんな見損なう先生じゃないということがわかったんです。そこで、よし、これは先生がおっしゃるように大事なことなのだったら私は一生懸命やりましょう。先生のお考えに沿って一生懸命、先生のお教えに従いましょうと思ってじっくり考え直すようになったんですよ。だからその一言が私を動かしたみた いなことになりました。で、よし、それほどのことなら、迂闊に考えたら私は先生に申し訳ないと思ったんです、逆に。それでジワジワ、ジワジワ考えていきま すと、いろんなものが見えてきます。いろんなものが見えてきて、もう今や抜き差しならないほどになったんです。
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