A:
技法の上である程度の基礎は必要だと思いますが、
あくまである程度でいいのです。
基礎が大切な分野も確かにあります。
例えば、
目的が絞られている場合で、
ストライクを投げる、ヒットを打つ
という目的に限定できる野球。
あるいはゴルフ。
こうした場合は
基礎が大切になってくることは言うまでもありません。
ところが織りの場合、
均一均質のものを織るのではなく、
私たちの目的は限定されたものではないのです。
自己表現なんて千差万別です。
みっちりなんていうしろものではありません。
むしろ基礎は美意識の練磨にあるのであって、
そうしたことのとらえ方を基礎としたほうがいいでしょう。
私流の創作生け花を教えたとき、
経験のある人は、
未経験の人よりもものにならなかったことがありました。
私の言わんとする基礎は、
型ではありません。
動作でもありません。
その素材をどう生かすかが基礎であると思います。
私の手織りに限り、
基礎は害になっても益は少ししかありません。
※著書『私の手織り』(中経出版・1975年:絶版)より
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