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明治のなかば生まれの
彼女の母マスエは、
二十歳まで家で
機織りをしていました。
マスエは、
「死ぬまでに、
もう一度手織をしてみたい」
と口癖のように
言っていたことが、
母の頭に強く残っていたのです。
「手織というのは
そんなに面白いものなのか?」
というのが、
母が子どもの頃から持っていた、
手織に対する憧れの発端でした。
手織を始めるのは、
そんな祖母の長年の願いを
叶えてあげる親孝行、
という気持ちもあったのでしょう。
【研三さんが語る、母・みさをの「さをり」物語】
★★★ その3 ★★★
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