山崎万里さんて、
神戸の向こうの
明石のの人なんですけど、
その方が一番最初に来られた時は、
お母さんの羽の下に隠れて、
チョコチョコって歩いてる
ひな鳥のような状態だったんです。
もう、すごーく、
哀れっぽい。
その人は、
養護学校の間中、
ひと言も
ものを言うたことがなかったんですって。
それが、
私どもの教室、
「手織適塾さをり」
っていうんですけど、
ここに通って、
織りをやるようになって
しばらくしたら、
どんどん
ものが言えるようになってきて、
もう、
どんどんどんどん
電話もかけてくるようになったり、
もう、しきりに変化してくるわけです。
そしたら、
万里さんの養護学校の先生が、
私たちの教室へ来られまして、
おっしゃったんですね。
「ハァー、
私たちはイソップ物語の
『北風と太陽』の話、
あれの北風でしたねぇ。
旅人に寒い北風を吹き付けて、
マントを風で飛ばして
脱がそうとしてました。
ここは暖かい、
ポカポカポカポカといい光を
投げかけてる。
だから自然に
マントが脱げたんです。
私らは、
逆のことをやってました。
あぁ、
イソップのそのままですねぇ」
と。
( NHKラジオ
『こころの時代 ~宗教・人生~』
1995年2月4・5日放送より )
★★★ その15 ★★★
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