母に教えられて、
私も織った。
とても楽しい。
こんなに楽しいものとは
知らなかった。
ところが、
ひと通り手が慣れた頃、
なんだ、これは。
機械で織ったものの真似ではないか。
と
思ったのである。
そして、
ようし、同じようなことをしてたまるか。
私には頭があるぞ。
金属ではないのだぞ。
人間なら人間らしいものをつくろう。
と
思いはじめた。
頭ではわかっていても、
どのようにすれば良いのか、
実際にはどんなことをすれば良いのか、
迷っていた。
ある日、
近所の奥様に
「お買いになったみたい」
と言われて、
がっかりしていると、
機屋の主人が来て、
「奥さん、
この帯、
たて糸が抜けてまんがな」
「え、どこに?」
「ここ、はじめから筬目が飛んでますがな。
これは傷物や。
こんな帯織ったら、
二束三文でっせ」
と。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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