そしてしばらくしたら背の高いのがやって来て、「先生、僕にバンダナ織らせてくれや」と言うんで「うん、バンダナ織らせてあげるよ。糸を選びなさいよ」。ところが私どんな糸を選んでいるのかなと思って見に行ったんです。お能の垂幕ありますね、橋懸りの。あの色を選んでいるんですよ。びっくりしました。あの人ら、お能を見たことないはずですよ。その色を選んでいる。参ったあと思ったんです。そしてベルが鳴ったから「あんた、授業行きなさい」。「いや、僕もう単位取ってあるから行かんでいい」と言って織っているんです。とうとう一時間でバ ンダナを織って、 喜んで頭に巻いて行きました。
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