それでもう一つ嬉しいことに、その感性は死ぬまで衰えないというんです。それを私が証明していると思います。八十三で衰えてませんの。記憶力は駄目、瞬発力も駄目、体力も駄目、知力も駄目、何もかも駄目ですよ。たった一つ残っているのは感力・感性だけが残っている。その感性が死ぬまで衰えないという天からの恵みによって人様の前でしゃべることができる。そしてこれがやり甲斐というものがわかるんです。そして美しいなあというのもわかるんです。歌もわかれば俳句もわかる、絵もわかる、何もがわかるんです。これは死ぬまで衰えない。だから奥村土牛さんだって年とっていましたし、外にも、ほとんど年とってもだんだん冴える画家がありますね。それが証拠だと思いますよ。だからそういう、ものすごく大事なこと、これを人間の生活の中に、人生の中で、一つのドスンとした地盤にしたいと私は思うんです。ところがそれを、いろんなニュースは流れても、その養老先生のおっしゃったDNAに組み込まれて感性は生まれてくるということの発表をなかなかされない。ただ一回の人間大学の講義で終わってしまっているような気がするんです。
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