今までは二人の中へ一人入って、それ間違った、ほどきなさい、ほらあんた、そこ汚い、ほどきなさい。ほどいたり織ったり、ほどいたり織ったり、二人の間に先生が一人ついて監視していた。あくる日から何もすることがなくなった。じっと見ていた。そうすると彼女たち-あそこは重度の知的障害ですよ、金剛コロニーは。その重度の彼女たちが生き生きとして織り始めた。黙って見ていたら、ものすごく楽しそうに。こんなに楽しいものかな、織りは、と先生が逆に思った。「私も織りたくなりましたので、機一台何とかして下さいよ。私費で買います」と言うので、私は大体予想はついていたんですけど、先生のおっしゃるようにしたんです。そしたら「先生、私はこんな色、使うたら派手かな、おかしいかな、 どうかなと思ったら前へ進みません。彼女たちは生き生きと、のびのびと、全く迷いもしないでタッタ、タッタと織っていきます」。そう言って先生が驚かれた。「そうでしょう! そうでしょう!」と言いたかった。
コメント