ちょっと長くなりますけど、その次はどうしたか、といいますと、生花には七・五・三という長さの比率があります。対角線の方向に正面を持っていくという一つのきまりのようなものがあります。不等辺三角形を作るんだ、というのもあります。昔習った中でそのエッセンスだけを引き抜いて、それを定理・定義のようにしながら今取り組んでいる花を考えましょう。まるで数学の問題を解くように生花を考えるように仕向けたんです。ものすごくうまくなった。みんな、その日からもう師範代ですよ。私は七年も八年も習って、手も足も出ないんですよ。これは悲しかったですよ。一番駄目なのは私なんです。生徒の方が、もう始めた生捷が全部うまいんです。逆発想です。こういう形を作ろうじゃないんです。この枝から美しい所を見つけようという逆発想なんです。ここが根本なんです。そして、ひとつひとつの花の、枝の美しさを見つけて、それをどう生かすか。そして一つのものにまとめるか。あっという間に上手になりました。二た月、三月しな いうちに、みんな師範代以上、昔の師範代どころじゃないんです。もうすごいガチーッと力をつかんだんです。えらいことになったぞ、えらいことになったぞ。これは世の中みんな間達うてた、と思ったんですけど、そんな三十余りの女に何ができるもんですか。
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