昔の話。
ある日、ギャラリーに親子が現れました。
二十歳前の娘がSAORIの服をお召しになる。
それを眺める母親。
「スカート1枚選ぶのに一日中
大阪を駆け回って探すのに、
どうしてこんなにどれもどれもが
ピッタリ似合うのか、不思議ですね」
とおっしゃる。
「実は私にもそのわけは未だにわからないのです。
人間臭さが人間に合うのではないか、
そう思うことにしています」
とお答えしました。
そして続けました。
「このお嬢さんは、世界にたったひとりでしょう。
ご主人と奥様の創作です。
この方に既成品など着せられません。
世界にひとつのものしか着せられない。
そんな気がします。
既製品の洋服を着せると安っぽくなります」
「SAORIの服は、
流行や年齢に関係なく、
着れば着るほどよくなるのですよ。
市販の服は反対に、
買ったときが最高で、
次第に古びて崩れていきますけどね」
と。
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