いつかは行きたいと思っていた。
しかしこちらから見ると、
それは、細道ではなく、
奥の深道である。
その深さが年月と共に激しくなってきた。
「もみじの美しいところに
ご案内をさせていただきましょう」
との心あるお誘いにあずかった。
お蔭で私は、さまざまな感動をいただくことができた。
人はこれぞと思うことは実行に移すことを
躊躇すべきでないことをまたしても実感した。
美しさのあまり、驚きの声も出せなかったもの。
それは山深く山脈の中にあった。
行っても行っても森林は続く。
どこまでも。
私はその天然の森林を飽くことなく、じーっと見つめながら、
車に身を任せていた。
森林と森林の隙間を縫って走る道路。
その細長い道から天を仰ぎ見たとき、
天に川が流れるように見えた。
そこに夕焼けが美しい雲を見せる。
細い細い長い隙間から見れば、
それは川のようだった。
逆に、空が地であるかのような錯覚に陥った。
天に夕焼け模様の川が流れていた。
不思議な光景だった。
今も目に焼きつき、ありありと想い出せる。
生きているうちに出合えたことを
何よりもの幸運と知った。
「知」だけでは見えないものを
改めて知った。
コメント