惜しい方がお亡くなりになった。
岡本敏子さんが仰っていたことを思い出す。
『岡本太郎の有名な言葉、「芸術は爆発だ!」
についてよく聞かれるけどね、
日本人は芸術と言うと、
詩を書いたり絵を描く事と思いがちだけど、
岡本太郎が言ってるのは「生きる事そのもの」なのよ。
生きることが芸術なのよ。
太郎さんは色とか形とか、物にぶつけずにはいられない人だから
「芸術」って言っちゃうんだけどね。
何も作らなくて良いの。
本当に生きてるってことが爆発なのよ。』
生きることは芸術である、と私も思う。
如何にして、死ぬ時に悔いのないような人生、
これが自分だと言い得る人生たらしめるかは、実に難しい。
自分らしさを貫くこと、
世間の価値観の波に抗って新しい価値観を創造することは、
確かに芸術であると思う。
私も、20年以上前に、次のように書いた。
【“私の生け花”が、“私の手織り”に姿を変えた。
その後いつの間にか“私の”がなくなり、
“さをりみんなの手織り”になっていた。
何故か手織りというだけでは言い表せなくなってきた。
突き詰めていくうちに、原点にぶつかったのである。
SAORIは規制の枠に嵌めず、
ひとりひとりが持つ個性を引き出すことを一番大切にしている。
SAORIを始めたことによって、
本人も気付いていなかった自分を発見し、
“自分を生きる”ことを始めた女性たち、
枠に嵌めない手織りに、嬉々として個性を発揮しだした障害者たち。
ひとりひとりを活かすSAORIのやり方は、
私をはじめ数え切れないほどたくさんの人に
“生きることの原点”を教えてくれた。
SAORIはたくさんのものを、人を、愛を、心を、生んできた。
そして今なお、可能性を一杯に孕んでいる。
(「わたし革命」より)】
その思いは20年たった今も変わらない。
かつて、敏子さんには、
『城さん、あなたは誰もがやれなかったことをおやりになりましたね』
とお褒めの言葉をいただいた。
私は間違っていなかった。
ありがたいことである。
心よりご冥福をお祈りしたい。
(2005年6月・352号)
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