日本ダウン症協会による
「第6回ダウン症児者の芸術創作活動」に招かれて、
講演させていただいた。
久しぶりの上京。
会場の広く大きなビルには、
全国からたくさんの作品が展示されていたが、
ひとつひとつが違う。
ひとつひとつに個性がある。
輝いている。
そんな彼ら彼女らの純粋直感の表れを、
久しぶりに一度にたくさん目の当たりにした。
活き活きと天真爛漫に振舞うファッションショーに心が動いた。
改めて、自然に生きる彼ら彼女ら素晴らしさ、
そして自然に則って生きることの大切さを思った。
昔の人は良いことを仰った。
「三つの然の合一する道を行くたしかさ」(武者小路実篤)。
つまり、「“偶然”見つかったこの道、
それは“自然”の中にあったもの。
自然の中から見えてきたもの。
これを行うのは“必然”だ」ということである。
そしてさらに私は、このことが“当然”のことだと思う。
「いのちあるものは、いのちあるものからしか生まれない」。
その真理に基づいて、
“偶然”見つかったこの道を、“自然”に則って歩むことが、
そのまま“必然”につながり、
それが“当然”になってゆくのではなかろうか。
四つの“然”である。
四つがからまって見つかった道、これを行う喜び、
自然という神はきっと喜ばれるであろう。
「人間よ、だから感性は死ぬまで
衰えないようにしてあるではないか」と。
人さまざま、生き方さまざま、であるけれども、
共通しているものは、時間である。
老いればあらゆるものが衰える。
しかしその中で、造化の神は感性を残してくれた。
その感性を活かすのが、さをりである。
さをりには上手も下手もない。
失敗がない。
優劣はつけない。
つけられない。
習うことは織る手順だけ。
他はすべて自分の中に持ち合わせている。
その智恵を引っ張り出せばよい。
好きに好きに、思うように織っていると、
そこに自分が見えてくる。
すなわち自己表現、自己実現である。
自然に則った生き方。
さをりなら、いともたやすくできる。
当然へと至る道である。
(2005年9月・355号)
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