彼女は
母と女学校の同級生で、
母と同じく、
絵画の時間が大の苦手で、
およそ芸術というものには
縁遠い女性であったのです。
その彼女が初めて織ったものは、
手ほどきする母には
到底真似のできない、
素晴らしいものだったのです。
「言われたように、
既成概念にとらわれず、
自由に好きに織っただけ、
そんなに良いですか?」
と
その女性は
怪冴そうに母を見ます。
母は、
「いやあ、負けた、負けた。
初めてなのに、
こんなに素晴らしいものを織るなんて」
と
絶賛します。
そのような「奇跡」が
私達の周りで
次々と起こります。
「エエッ、
これは一体
どういうことなの?」
【研三さんが語る、母・みさをの「さをり」物語】
★★★ その20 ★★★
コメント