こうして
2年目の冬が来た。
なにも言わないのに、
また価が上がった。
そして、
「城さん、
こんなのが良く売れるんです。
もっとこんなのを
たくさん織って下さいな」
と、
注文がつき始めた。
「はい、 そうします」
と、
帰って、
織ろうとしたが、
今度はどうしてか
手が進まなくなった。
なぜだろう、
あんなに楽しく織れたのに、
と、
思い悩んだ。
そこで、
ハッと気がついた。
そうだった、
今までは
私の好き勝手なことをして
織っていたのだから
楽しかったが、
今度は注文がついた。
自由がなくなったのだ。
だからつまらなくなったのだろう。
やめた、
やめた、
と
思った。
私は、なにも
お金もうけのために
織っているのではない。
そう思うと、
急にやる気がしなくなった。
申し訳ないが、
私はやりたくない。
ご恩は決して忘れないが、
どうか勝手を許して下さい、
と、
心の中で詫びていた。
『わたし革命 ~感性を織る~』 城みさを著
(神戸新聞出版センター 1982年刊 ※絶版)より
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