そして、それから参考書を一冊買いまして、その本で図面を見てぽちぽちと手識の機を作ることをやり始めた。夫は二階に寝ていて私がいつまでもやっているので、「今、何時やと思ってる。いつまでやっているんだ。ええ加減にして寝たらどうか」と怒鳴りに来たんです。その時、私が釘を打っていました。「そんな手付きで釘が打てるか、貸してみろ」と言って、金づちを取り上げて それで打ったらスコン、スコンと釘が入るんですよ。私が打ったら全部ゆがんでしまうんです。ゆがんだ釘を抜くのが大変なんです。ハァーと思っている時に、スコン、スコンと釘が面白いほど簡単に入る。ハァーと思って眺めていたんです。そういうことから、なんだ、可愛そうに。こんな釘ひとつよう打たん者、まあ手伝ってやれ?という気になったんでしょうね。それから手を貸してくれるようになりました。こいつは思いついたらやめないぞ、というのがわかってんですょね。だから手を貸してくれ始めたんです。そして自分が認められた。イヤー、私が打ったらみなゆがんでしまう、塵あんたが打ったらスコーンと入る、ウワーァと思って、こっちでびっくりして見ているのが嬉しかったんでしょうね。手伝ってくれるようになりました。それで彼の方は頭が進んでいます。タッタッタと機械的なことは、はかがゆく。そこで私は自分で使う心の部分を私が考えたんです。枕元へいつも鉛筆とメモを持って寝ていたような状態でした。夜、目が覚めて 頭に浮かんだら、パッパッと書くような状態の日が続いたんです。そして息子たちの協力も得て何とかできたんです。
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