ここからがちょっと、よう聞いてほしいところなんです。私は、これは絶対、型を押しつけてはならない、という決心してました。私の二の舞いですよ。絶対教えてはならないという決心してました。どうしたかというと、新聞紙を広げなさい。新聞紙を広げます。その中の一番好きな枝を持ってごらん。それで一番好きな枝をこう持ちます。この枝はどこから見た時が一番美しいかを探してごらん、と言うたんです。一つとして同じ枝はないです。皆、違っていますよ。この枝をどの方向に回してみて、どうしたらこの枝が一番美しい形に見えるか、というところを探せと言うた。そうしたらいろいろありますよ。ぐりぐり回します。ああここ、どう傾げた時が一番美しいか探してごらん、とこう言った。みんな、できるんですよ。これと思うとおり挿しなさいと、こう言う。全部ができるんですよ。おわかりでしょう。美しいものを見る目を持っていたんですよ、みんな、習う前から。これはいかんぞ。教えるということは自分のコピーを作ることだ、罪悪だと思ったんです。この人たちの中から引き出すんだ。
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