テレビを見て心から幸せだと思った。
9月25日にNHKで全国中継された
『愛・地球博』の閉会式の様子。
皇太子殿下や小泉総理大臣もご出席された閉会式会場に、
市民プロジェクトで織りつないださをりの布が
会場一杯に垂れ下がった。
アッと息を呑んだ。
「わっ、きれい!」と感心した。
科学技術万能の時代に花を添えたのは、
やはりさをりの作品であった。
その美しい彩りは無機質の背景に、人の息吹を感じさせた。
血を通わせた。
そして全国の人々が我々さをりの布をご覧になった。
感動した。
昔を振り返れば、70年の大阪万博の時は、
私が手織りを始めようと、腰を上げたばかり。
SAORIが産声を上げたばかり。
それが81年のポートピア博覧会の時には、
国連館で国際障害者年協賛として、
日本が国連本部に寄付した鐘の前に
織機を並べてワークショップをした。
大盛況だった。
90年花博にも参加した。
どこでも、ひとつのタピストリーを
みんなで織る連帯感をすごく喜んでくれた。
毎日織り続けられた布が素晴らしい作品になるという不思議。
どこも捨てるところがない。
切れない。
みんなみんな生きているという実感。
何故こうなのか?
いつものことながら感心する。
どうしてそんなに美しいのだろう?
「あんなにイイ加減に、勝手勝手に織ったものが・・・」
とは誰もが言うセリフ。
けれども、どれもみな素敵な作品となるから不思議。
そしてそれは今回の愛・地球博でも変わらなかった。
今回は3万人近い人が織りつないだそうな。
3万人もの感性が現れた。
こんなうれしいことがありますか!
さをり会員の協力なくしては実現できなかった。
毎日毎日、寒い中、暑い中、奉仕してくれた。
ありがたいな、と思わぬ日はなかった。
一方、奉仕してくださった会員は、
一人一人の心の中に、
素晴らしい愛・地球博に参加できた
という実感を掴んで、
自他共に良い思い出を残すことができた
と喜んでくださった。
それがまた、うれしい。
(2005年10月・356号)
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